編み上げ靴を履く心理

ビジネスマンが選ぶ「ヒモ付き靴」のヒモは、たいていは「飾り」である、いちいち履くたびにヒモを結ばなくてはならない靴を選ぶ人は稀だろう。ハーフプーツ系で、上のほうまでヒモが編みげられているタイプでも、たいていはジッパーが付いているから、ヒモなしのものと履く葵間はあまり変わらない.にもかかわらず、ヒモ付き派とヒモなし派には、心理的には大きな違いがある、たとえ見た目だけであっても、「ヒモを編み上げる」タイプの靴を選ぶというのは、どこかで「自分を拘束したい」という気持ちがあって、さらに「拘束しないと奔放に動いてしまいそうな自分を危険から守りたい」という願望が隠されているのだ。ゆんつまり、自由を求めて飛び立ちたいと願いながらも、逡巡して逆の方向、言わば大樹の陰に入って安心したい、というタイプなのだ.こういう人に、気安い態度を取ると、手ひどい反発を受けることがあるので気をつけよう。
日本の標準的な靴は、すべてヨーロッパで発達したものです。最近ではヨーロッパでも家に入ると靴を脱ぐ習慣が少しずつ広まっているようですが、いまだにほとんどのヨーロッパ人は「靴を脱ぐのはベッドに入る時と風呂でだけ」と考えています。ですから、ヨーロッパの男性が日本の若い女性が履いている膝小僧すれすれの超ロングブーツを見ると、難攻不落の砦を見るような気持ちになるのではないでしょうか。つまり脱ぐのも履くのも一大事のブーツを履いているということは、その女性には「ベッドインの誘い」に応じる気はない、と判断するわけです。実際にロングブーツを愛用している日本の若い女性には、そんな意識などはさらさらないはずです。何しろ一説には「ミニスカートを履いても冷えないから」ということが、ブーツ流行の原因だとさえ言われているのですから。それにしても、革製のロングブーツで自分の身体を包みたいという願望は、周囲に対してオープンな時に生じるものではなさそうです。やはり「周囲(あるいは周囲の視線)から自分を守りたい」という願望があるのです。